なぜ「40代事務」は苦戦し「60代事務」は歓迎されるのか?派遣市場の意外な実態


「40代でも事務の仕事を見つけるのは難しいのに、なぜ60代で派遣の事務仕事に就けるのか?」

先日、あるニュース記事をきっかけに、このような議論が社内で持ち上がりました。一般的に、年齢が上がるほど転職や再就職のハードルは高くなると考えられがちです。しかし、派遣市場のデータを詳しく紐解いていくと、そこには意外な「構造」が見えてきました。

今回は、シニア派遣市場の調査レポートをもとに、なぜ今、60代の事務職需要が高まっているのか、そして40代が直面する課題とは何が違うのかについて解説します。

目次

1 60代事務派遣は「ニッチ」ではない
2 なぜ60代は「歓迎」されるのか?
3 40代が直面する「期待のギャップ」
4 年齢ではなく「マッチング」の質

60代事務派遣は「ニッチ」ではない

まず、驚くべきデータがあります。
日本人材派遣協会の調査によると、派遣社員全体の約1割(10.3%)を60歳以上が占めています。さらに、その職種内訳を見ると、「OA事務」が26.1%、「一般事務」が10.2%と、合計で3割以上が事務系の仕事に従事しているのです。

「シニアの仕事=軽作業や警備」というイメージを持たれることも多いですが、実際にはPCスキルや実務経験を活かしたホワイトカラー領域での活躍が広がっています。

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なぜ60代は「歓迎」されるのか?

40代が苦戦する一方で、なぜ60代へのオファーが存在するのでしょうか。その背景には、企業と働き手のニーズが「派遣」という形態で見事に合致している事実があります。

企業側は現在、深刻な人手不足に直面しています。
若手を採用して一から育てる余裕がない中、求めているのは「教育コストのかからない即戦力」です。長年の実務経験を持ち、ビジネスマナーも完璧なシニア人材は、まさにこのニーズに合致します。

一方、働くシニア側にも変化があります。
「フルタイムでバリバリ働きたい」という方だけでなく、「年金と併用しながら、週3日程度で無理なく働きたい」「培ったスキルを活かして社会と繋がりたい」という柔軟な働き方を望む声が増えています。

この「即戦力が欲しい企業」と「柔軟に働きたいシニア」のマッチングにおいて、派遣という雇用形態が最適解となっているのです。

40代が直面する「期待のギャップ」

では、なぜ40代の事務派遣は厳しいと感じられるのでしょうか。
調査レポートでは、これを「企業からの期待の種類の違い」と分析しています。

企業は40代に対して、単なる実務能力だけでなく、「将来の正社員候補」や「マネジメント能力」、「組織の中核としての長期的な貢献」を期待する傾向があります。

しかし、派遣という有期雇用の枠組みの中で、この重層的な期待に応えることは容易ではありません。結果として、「スキルはあるが、組織にフィットするか不安」「扱いにくいのではないか」という懸念を持たれやすくなってしまいます。

対照的に、60代は「定年後の再就職」という位置づけが明確です。
企業側も過度な将来性を求めず、「今のスキル」を純粋に評価する傾向にあります。この「割り切った関係性」が、スムーズな就業に繋がっていると言えるでしょう。

年齢ではなく「マッチング」の質

今回の調査から見えてきたのは、単なる「年齢の壁」の話ではありません。重要なのは、「企業が求める役割」と「個人が提供できる価値・働き方」がいかにフィットするかという点です。

経験の価値化: 経理や人事など、専門性の高いスキルは年齢に関係なく高く評価される。
働き方の多様性: フルタイムにこだわらず、柔軟な働き方を受け入れることでチャンスは広がる。

私たちプロ人材機構としても、単に人材を右から左へ流すのではなく、こうした構造的な背景を理解した上で、企業と個人の双方が幸せになれる「質の高いマッチング」を追求していきたいと考えています。

参考データ:本記事は、弊社が実施したシニア派遣市場調査レポートに基づいています。


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