【事業承継経営人材対談】第3回:サーチファンド×人材のプロが語る「私たちが事業承継現場で選ばれる理由」

前回の振り返り:第2回:事業承継というキャリアの新しい形〜「よそ者社長」が信頼を得るプロセス
        第1回:「“人がいない”のではなく、“想いがつながっていない”だけ」
事業承継が社会課題として注目される中、単なるM&Aや人材紹介に留まらない、“想いをつなぐ仕組み”が求められています。その中で、サーチファンドという手法に着目し、国内初の地銀系サーチファンドとして事業承継に挑むのがYMFGキャピタル。一方、企業と人材の“志の共鳴”を支援してきたのがプロ人材機構。この最終回では、なぜこの2社が“トッププレイヤー”として選ばれ続けているのか。その根底にある哲学と、未来に描く構想について語り合います。

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「企業を守る」ために生まれたファンド

藤本(YMFGキャピタル):我々が運営する「地域未来共創Searchファンド」は、地域の事業承継課題を解決し、将来の地域の中核企業を創出することを目的に設立しました。

高橋(プロ人材機構):YMFGキャピタルのサーチファンドは、“利益の最大化”が目的ではないという点が、他のファンドと一線を画していると思います。

藤本:おっしゃる通りです。
一般的なファンドはIRR(内部収益率)20%超が期待される世界ですが、我々は5〜10%程度。地銀だからこそ、地域経済の持続性を重視できる。企業を救うために、あえて“収益性だけにこだわらない設計”にしているんです。

高橋:なるほど。それは地銀がバックにいるからこそ出来ることですね。

藤本:数字ではなく“地域企業の一つ一つの物語”を紡ぐ承継を、我々は目指しています。


後継者のキャリア形成からみたサーチファンド

高橋:人材の側面から考えても、事業承継に関わる後継者候補という市場は魅力的だと思っています。企業において成果をあげていた人が、独立して苦労する姿を沢山見てきました。仕事が出来る方は全てゼロから創り上げることが得意とはいえませんから。

藤本:確かにその側面はありますね。
事業承継において、まず求められるのは承継先の組織やメンバーを束ねていくところで、企業において成果を出している人は、このあたりが上手いはず。

組織をゼロから創っていくフェーズと、今ある組織を拡大していくフェーズでは異なった能力が必要です。自分がトップマネジメントとして会社を推進したいと考えることは素晴らしいと思いますが、すべての人がゼロから起業することに向いているとは思っていません。既にある組織の拡大に意識を向けていくキャリアも考えられるのではないかと思います。

高橋:確かに起業すると全て自分で行う必要があります。
ただ、これは本当に大変。そもそも経験のないことを不得意な方が行う非効率性もある。事業承継における後継者候補という選択肢は経営を担いたいと考える方にとって一つのキャリアだと思います。

藤本:そのためにも、私たちでサーチファンドの認知度を上げたいですね。経営に関与したいと考える人のキャリアの一つとして、事業承継=サーチファンドという名前が挙がってくれば嬉しいです。

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北九州市との“全国初”の官民連携:地域で未来を育てる

藤本:ところで、2023年には、北九州市と「市内中小企業の事業承継推進に関する連携協定」を締結しました。サーチファンド事業における自治体との協定は全国初です。

高橋:これは面白い取り組みですね。
自治体が後継者問題に“本気”で取り組み、民間と組むというのは先進的な動きだと思います。

藤本:ええ、北九州市には、経営者の高齢化と後継者不在に悩む企業が数多く存在しています。全国から経営人材を集め、地域企業との事業承継を進める枠組みをつくりました。

高橋:行政がパートナーになることで、企業側にも「この取り組みは信頼できる」という安心感が生まれますよね。単なるファンドやM&A仲介業者では得られない“公的な後ろ盾”は大きい。

藤本:我々はこの連携をひとつのモデルケースにして、他の自治体との協力も広げていきたいと思っています。


事業承継に対する金融から、そして人からのアプローチ

高橋:私たちも単なる「ヘッドハンティング・人材紹介」事業を行っているつもりではありません。「人生の深みを、未来につなぐ」を理念として、その方の経験や苦労、培ってきたものを、しっかりと後の世代に引き継いでほしいとの思いで事業を進めています。

藤本:事業承継とも似ていますね。
事業承継はビジネスの承継ではない。想いの承継です。創業オーナーの想いを継げる方を社内外から見つけていく。創業オーナーの想いを第三者が承継するためには、面談の回数、経歴だけではなく“人間性の深掘り”など、本当に丁寧に行う必要があります。

高橋:そうなんですよね。
そもそも経営者候補を見極めるって本当に難しいし恐れ多いとも思っています。ただ、“この人なら従業員と一緒に未来をつくれる”と思える人かどうか、その見極めの重要性は日々感じています。本当にこの仕事は学ぶことが多い。おそらく一生学び続けると思っています。

藤本:2024年9月には、我々のファンドからサーチファンド事業で国内初となる「サーチャーのMBO(マネジメント・バイアウト)」が実現しました。これも私達独自のアプローチだと思っています。

高橋:すごいですね。
自ら引き継いだ企業を成長させ、その後オーナーとして完全に独立する。まさに“志の承継”が結実した事例ですね。

藤本:約4年間、サーチャーが企業価値向上に取り組み続けた末のMBOです。我々としても、サーチファンドによる事業承継の持続可能性を示すことができて大きな成果を創出できましたが、それ以上に、地元の企業が次の世代へと確実につながったという事実が何より誇らしい。

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「トップでいられる理由」は“物語に向き合ってきたから”

高橋:事業承継は、ただ会社の株式を譲るだけじゃない。“想いを繋ぐ”行為ですから、そこに真剣に寄り添える組織かどうかが問われます。

藤本:数字で割り切れない“空気”や“社風”や“志”。そうしたものを受け止め、翻訳し、新しい経営者に引き渡す力が必要です。それを、我々は「地銀の信頼」と「人材の想い」でやってきました。

高橋:なるほど。
そして、貴社は、その第一人者としての取り組みや発信も強めていますよね。事業承継に関するアプローチとして新しい解決策を世の中に生み出しています。サーチファンドと言われると、正直よく分からない。まだまだ言葉に対する誤解も多いですよね。

藤本:会社の未来に、人生を預けてくださるオーナーの想いに応える。これが、我々の仕事の本質です。しっかりと伝えていく必要がありますね。

高橋:我々が目にしているのは、「株式の承継」ではなく、「企業の物語の承継」。そのように考えていくと、創業オーナーの想いを継いでいくための手段の一つとしてサーチファンドが今後も益々広がっていくと感じました。

藤本:ありがとうございます。
そしてその物語は、事業承継を経て、新たに走り出す。事業承継はゴールではなく、新たなスタートなんですよね。想いを託すことが出来るサーチャーとの出会いは非常に重要です。そして、企業オーナーの物語を継いでいくサーチャーの伴走者として私たちの役割も重要だと思っています。

高橋:どんなにAIやテクノロジーが進化しても、“人が人に託す想い”だけは、変わらない。私たちは、これからもその“想いの継承”に全力を尽くしていきたいですね。

藤本:そしてその先に、未来をつなぐ企業が増えていく。
私たちは、その土壌をつくり続けたいと思います。お互いに、この分野を牽引するトッププレイヤーとして引き続き頑張っていきましょうね。

高橋:この度はありがとうございました。

藤本:今後とも何とぞよろしくお願いします。

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▽3回シリーズの第1回はこちらからどうぞ
第1回:「“人がいない”のではなく、“想いがつながっていない”だけ」
第2回:事業承継というキャリアの新しい形〜「よそ者社長」が信頼を得るプロセス


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