“強み”を言語化すれば働き方はもっと自由になる 上田晶美さん対談

上田晶美さんは、1993年、日本初のキャリアコンサルタントとなり、女性キャリアサポートや学生の就職活動サポートなどを行っている株式会社ハナマルキャリア総合研究所の代表取締役。30年以上キャリアカウンセリング界をリードしてきた上田さんのYouTube「ハナマルチャンネル」に、弊社代表の高橋がゲスト出演しました。

目次

  1. シニア人材に“仕事”はあるのか?リアルな現場の声
  2. 企業と現場をつなぐ「翻訳者」としての役割
  3. 「強み」に気づいていないシニアたち――経験を価値に変える言語化の力
  4. 経験を眠らせない――中小企業が求めるシニアの“現場力”
  5. なぜシニア人材の離職率が高いのか?
  6. 自分では気づきにくい“強み”を言語化するサポートの力
  7. 実例でわかる!シニアが企業に求められる理由
  8. 失敗しないためのマッチング戦略とは

シニア人材に“仕事”はあるのか?リアルな現場の声

上田:仲良しの高橋啓(あきら)さんです。漢字が「けい」と書くので、仲間内ではみんなケイ君って呼んでいるので、今日もケイくんと呼ばせてもらいますね。ケイ君のビジネスはシニア人材を扱っているそうですが、どういうお仕事か教えて下さい。

高橋:私は、シニア人材をターゲットとしたヘッドハンティングをやっております。シニア人材は、経験やノウハウ、ネットワークが豊富な素晴らしい方々がたくさんいらっしゃいます。これまで、私自身が、エグゼクティブ・シニアをテーマにしたヘッドハンティングを15年強経験してきて、シニアの方が活躍する沢山の成功事例を見てきています。企業からの依頼に基づいて、私自身の経験を活かしてシニア人材企業にマッチングするという仕事ですね。

上田:シニアの仕事ってそんなにあるものですか?

高橋:これが、めちゃめちゃあるんです。去年から主にシニアビジネスで独立をしたんですが、毎月2桁以上のお問い合わせ、お引き合いを頂いています。

企業と現場をつなぐ「翻訳者」としての役割

上田:実は内緒ですが・・・私も60代になりまして。友人関係からたくさん相談が来るんです。一般の企業は、今60歳定年というよりも、そこから再雇用になって、65歳で65歳からまた再雇用2、3年っていうのが平均的ですよね。だからみんな、その年齢を目前にして不安になっている。友達だから上田さん、話を聞いてくれないかなって相談されるんです。

高橋:そこですね!皆さん、シニアの仕事は少ないって思い込んでいるんです。実は結構あるんです。1番多いのは、社長さんと現場の間に立って、社長の翻訳者としての業務ですね。例えば社長と一緒に営業戦略を考えたり、マーケティングだったり、それと商品開発の案件も多いですね。

上田:企業の幹部として関わるってことですね?

高橋:幹部として入るんですけども、経営者の考えていることを分かりやすく現場に落としていくっていう形なので、現場と経営の間ぐらいというポジションでしょうか。
それと、経営者の方が若いケースも多いので、若い経営者としっかりコミュニケーションは取れるかどうかも求められるところですね。

上田:どうしてシニアビジネスをやろうと思ったんですか?

高橋:ブルーオーシャンだからです。こんなにニーズがあって、目の前にこんなに素晴らしいシニアの方がいて、たくさんのマッチングができているのに、シニアって難しいと思い込んでいて、他の企業があまり進出をしていないんです。やっている会社がないわけではないんですけど、まだ力を入れてやっていないので、これはビジネスチャンスと思ったんです。

上田:ブルーオーシャン。だから、経済紙とか電車の中吊り広告などに載るなど、注目されるわけですね。私も話題の仕事だと思います。

「強み」に気づいていないシニアたち――経験を価値に変える言語化の力

高橋:ありがとうございます。シニアマーケットって、今、色々進出しようとしている企業はあるんですけども、ちょっと間違った形で伸びていっちゃってるところもあります。シニアの方が持っているネットワークをどんどん紹介してくれませんかといった感じとか。面接に行くと、名刺をリスト化してくださいとか。シニアの強みってそういうのではないと思うんですよね。

むしろ、培ってた経験とか、お持ちの名刺をなんで交換できたかとか、その人脈が維持できてる理由とか、それがノウハウなはずなのに、単純に点で名刺を繋げっていうことを期待してるっていうところがあったりもするんです。

上田:だから限られた就職先しか思いつかないし、自分の強みに気づかないんですね。
私も日本初のキャリアコンサルタントとして31年やってきまして、2万人の方のご相談受けてきてます。その中でやっぱり何が大事って、自分の強みをしっかり明確にして、それを次の仕事につなげていくことなんですよ!

高橋:シニアの方は、同じ会社や環境で長く勤めあげている方が多いので、自分の強みに気づいていないことが多くて、外の世界を知らない方も多い現状もあります。例えば、大手企業で定年まで過ごしていると、みなさん、いろんなノウハウをお持ちなんです。

資料の作り方もそうですし、訪問、提案、社内会議の仕方など1つ1つが素晴らしい能力なのに、結構これを普通だと思っていて強みと感じていないんです。それと、その方が普通にやってきたことが、中小企業やベンチャー企業だと、その業務がわかりにくいこともあるんです。だからこそ、伝わるように強みを言語化することが大切なんです。

経験を眠らせない――中小企業が求めるシニアの“現場力”

上田:納得ですね!ご自身の強みの言語化のためにもキャリアコンサルタントが力になれると思います。そして、自分の強みに気づき、言語化できた履歴書を作成して、シニア人材の経験を必要としている会社に送りたいですね。

高橋:ぜひ、お待ちしております。ちゃんと言語化された強みを、必要としている企業に提案するノウハウを私たちは持っています。今は人手不足の時代ですし、本当に中小企業とかベンチャー企業って、そういった能力を常に欲しがってるんですよ。シニアのみなさんの能力を、日本経済を強くする力にしていきたいです。

なぜシニア人材の離職率が高いのか?

上田:今回もシニアビジネスをしているケイくん、高橋啓(あきら)さんに来てもらっています。これから一緒に事業をスタートさせようと構想しています。どんなマッチングになりますか?

高橋:ハナマルキャリアさんの方で、シニアの方の強みを深掘って、その強みを私の方で企業に提案していくというような事業ですね。

上田:私も60代になって、仲間から相談を受ける機会が増えました。どんな仕事ができるかなって不安なんですよね。
シニアのお仕事マッチングは難しそうなイメージですけど、実際どうなんですか。

高橋:シニア世代が転職先ですぐ辞めるケースが増えていて。実は、離職率が1番高いのが30代なんですけど、次に多いのが60代なんです。1〜2年以内に会社を辞めちゃうことが非常に多いんですよね。マッチングの難しさが現れているところです。大体18パーセントぐらいの離職率で、その方の強みと企業が欲してるところの不整合が起きていて、入社してみたらこんなはずじゃなかった、という状況がお互いに起きているんです。

上田:残念すぎる。それこそ働く時間は長くないのに、いろいろ変わるのは大変。もっと力を発揮して欲しいですよね。

自分では気づきにくい“強み”を言語化するサポートの力

高橋:はい。シニアの方にも少し考えてほしいところがあって。そもそももう仕事がないと思い込んでいるので、仕事があるとすぐに飛びついちゃうんですよね。

上田:なるほど。そうかもしれないですね。不安ですし、すぐ働きたいんですよね。そこで、キャリアコンサルタントが自身の強みを整理するお手伝いができたらいいなと。前回もお話したけど、自分の強みをしっかり理解して、うまくマッチングしていく流れが作りたいですね。

高橋:本当におっしゃる通りです。自分の強みって、なかなか自分で考えることって難しくて。それと、自分でよく見せたいとか、ここって強みなんじゃないかというのを、いつも同じメンバーばかりで話をしているので見えづらいものなんです。

実例でわかる!シニアが企業に求められる理由

上田:実際の企業とシニアのマッチング事例を教えてもらえますか。

高橋:お問い合わせとして多いのは、製造業ですね。例えば日本の化学メーカーであれば、商品開発は国内で、製造は海外で、小売はドラッグストアなどに任せるじゃないですか。そうすると、商品開発するにも声がわからない。今何が売れてるのかとか、製造現場のこともわからない。

そういった会社様に、例えば小売の出身の方とか製造に詳しい方に商品開発から入っていただいて、今お客様は何を欲しているのかっていうのを小売の目線でアドバイスするとか、製造の目線でアドバイスするとか。商品開発に関わっていくという案件は多いですね。

実際に稼働されている方ですと、例えばAさん。
小売店で、低価格帯商品を店頭に並べるような会社の商品開発の経験がある方。いま、あるメーカーさんのサポートに入っていただいています。そのメーカーさんは、新業態として低価格帯の商品を売っていきたいと思った時に、どこまでの機能を残して、削っていくかがわからなくて、今、商品開発から一緒に動いています。

上田:能力が生かせて生き生き働けますね!

高橋:そうですね。日本で成長しているメーカーさんは、一品商売の会社が多いんですよね。この商品で生きていくというスタイル。ただ、それだと相当競争力が強くないと生き残れない。自分たちで新しい業態に進出したいけれども、わからないことが多い。その問題解決のために力を発揮してもらうといった感じです。

収入面は、プロジェクトにもよるんですけど、大体、週に1回か2回ぐらい商品開発会議に出るとか、一緒に現場に入っていくものですと、1社で週2回の稼働で大体30万か40万ぐらい。多いのは、そういった会社を2社、3社くらい兼任なされて現役時代と同じぐらいの収入を得るといった感じです。

上田:シニアの皆さんが定年までいた会社に再雇用されると、給料は4分の1になるなどと言いますよね。しかも、労働時間は変わらないけど、収入は大きく下がる。加えて、残業はまだまだあるみたいだから、体力的にもしんどいといった悩みも聞きます。それが週2日働いて、それだけでも30万。無理しないで、趣味も時間も大切にできるし、旅行に行けるし、週2日でノウハウを提供できて理想的ですね。

高橋:シニア世代の方がもともとの会社に残って、少し給与としていただくのもいいんですけども、培ってきたノウハウとか知見をもっといろんな会社に活かす発想があっていいと思うんです。その能力を欲している日本の中小企業っていっぱいあるんですよね。

失敗しないためのマッチング戦略とは

上田:どうしてプロ人材機構だと「難しい」と言われるシニアのマッチングが成功するのでしょう?

高橋:私はこの領域のビジネスを20年ずっとやってきました。これしかやったことがないので、いろんな成功事例、失敗事例を見てきたっていうのが一つあるかもしれないですね。あとは、お客さんのニーズを拾うときに、完璧な人が欲しいというニーズが多いんですけども、その中でも「ここだけが欲しい」というところを私は徹底的にヒアリングしているからです。その企業の必要な一定部分のために、それを持ってる人をうちは探します!というところで動いているからですね。

今後は、ハナマルさんで強みをしっかり見つけてもらい、能力をいかせる仕事に出会える流れを作れたら最高ですね。

上田:私もシニアに入ってますし、シニアのみんなに本当に活躍してほしい。

高橋:シニアの方って若干、自己評価が低くなっちゃうって方が多いんです。絶対にそんなことないんです。もっとできることをより多くの方に、いろんな会社に伝えてほしいです。それが日本の抱えている社会課題の解決に繋がると思います!


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